
退去時の立ち会いで「追加費用が予想以上にかかった…」という声は少なくありません。
実はその多くが、自分で落とせる汚れを残したまま退去したことに原因があります。
「クリーニング費用」と聞くと、すべて管理会社負担に思われがちですが、“通常使用による劣化”以外の汚れは借主の責任。
この記事では、退去時に損をしないための清掃ポイント・注意点・立ち会いチェックのコツを、部屋別にわかりやすく紹介します。
掃除に自信がない人でも、1日で完了できる実践手順付きです。
目次
1. 原状回復の基本を理解する
退去時のトラブルの多くは、「原状回復の範囲」を勘違いしていることから始まります。
原則ルール:
「汚れは借主負担、経年劣化はオーナー負担」
借主負担になるケース
- 水垢・油汚れ・カビ・タバコのヤニなど“落とせる汚れ”
- 釘やネジで開けた穴、落書き、ペットによる傷
- 清掃不足による悪臭(特にキッチン・トイレ・玄関)
オーナー負担になるケース
- 家具設置による軽い床のへこみ
- 日焼け・壁紙の自然な変色
- 通常使用による摩耗や経年劣化
清掃は「やったか・やらないか」で請求金額が変わる部分。
しっかり落とすだけで1〜3万円の差が出ることも珍しくありません。
2. 準備物(効率的に動くための最低装備)
| 用途 | 道具 | 備考 |
|---|---|---|
| 拭き掃除 | マイクロファイバークロス(短毛・中毛) | 毛足を使い分けると効率UP |
| 洗剤 | 中性洗剤・クエン酸・アルカリ電解水 | “中・酸・アルカリ”の3本で家中対応 |
| こすり用 | メラミンスポンジ(軽圧限定) | 光沢面はNG |
| 細部掃除 | 綿棒・古歯ブラシ・割り箸+布 | サッシや溝に最適 |
| その他 | ゴム手袋・雑巾・ゴミ袋 | 忘れがちな必需品 |
ポイント:
「専用洗剤を増やす」より「使う順番を覚える」ほうが時短になります。
3. キッチン清掃|油膜・ベタつきが残ると追加費用に直結
キッチンは「清掃の程度で請求金額が最も変わる」箇所。
特に換気扇・コンロまわり・シンクは汚れが残っていると有料クリーニングの対象になりやすいです。
手順
- 換気扇フィルターを取り外し、中性洗剤を溶かしたお湯に10分浸け置き。
→ 柔らかブラシで軽くこすり、乾かす。 - レンジフード外装:アルカリ電解水で拭き→中性洗剤で中和。
- コンロ周辺:プラスチックヘラで焦げ付き除去→中性洗剤で仕上げ。
- シンク:クエン酸スプレーで水垢を中和→乾拭き→ツヤ出し。
- 収納内:棚板を乾拭き→湿拭き→乾燥するまで扉を開ける。
仕上げのコツ:金属のツヤとシンクの水切りを残すと、「丁寧に住んでいた印象」に変わります。
4. 浴室清掃|“水垢・カビ・臭い”は三大減点項目
浴室は“見た目より匂い”で評価が決まります。
特に排水口・ドアレール・鏡のウロコを落としておくと、清掃済み扱いされやすいです。
手順
- 鏡:クエン酸2.5%を軽く噴霧→スクイージーで水切り→乾拭き。
- 水栓金具:クエン酸→中性拭き→乾拭き(酸残りで金属腐食防止)。
- 床・壁:上から下へ中性洗剤で直線洗い→シャワーでしっかり流す。
- 排水口:ヘアキャッチャーと受け皿を分解→ブラシ洗い→乾燥。
- ドア下レール:綿棒+中性洗剤でスライド→乾拭き。
仕上げワンポイント:浴室を使ったあとに「スクイージーで水切り+換気扇30分」だけで、再汚染をほぼ防げます。
5. 洗面所・トイレ|“においゼロ”で印象が180°変わる
トイレの臭いは“蓄積汚れ”の証拠。
壁や床の飛びはね、便座裏の見えない汚れもチェック対象です。
洗面
- 鏡は浴室同様、水切り→クエン酸→乾拭きでOK。
- 蛇口根元の白い結晶はクエン酸パックで5分。
- 排水口はブラシで軽くこすり、ぬめり除去。
トイレ
- 便座裏→リム→タンク外装→床の順に中性で拭き上げ。
- 換気口・壁のホコリも見られやすい。
- 最後に重曹を少し撒き、5分後に流すと消臭効果UP。
においが消える=清掃済み扱い。
「見た目」よりも「におい」で判断されることを意識しましょう。
6. 居室・リビング|“生活感ゼロ”が理想
照明やスイッチ周りの手垢は、見落としがちな減点ポイント。
特に黒いテレビ周辺・ドアの取っ手・床の皮脂跡は忘れずに。
手順
- カーテンレール・照明→ハンディワイパーでホコリ除去。
- 棚・家具面→中性湿拭き→乾拭き(鏡面は力を入れすぎない)。
- スイッチ・リモコン→中性拭き→乾拭き。
- 床→掃除機→ドライモップ→最後に乾拭き。
印象UPポイント:リモコンと照明スイッチの指跡を落とすだけで、清掃済みの印象になります。
7. 窓・サッシ・ベランダ|砂・コケ・クモの巣を除去
窓やサッシ溝は見逃されがちですが、管理会社は最初に確認します。
特にサッシの「砂」やベランダの「コケ」は、“放置感”が強く出る箇所。
手順
- ガラス→中性洗剤→スクイージー仕上げ
- サッシ溝→刷毛+掃除機→中性→拭き取り
- 網戸→外してシャワー→乾燥
- ベランダ→ほうき→水拭き→乾燥
ここがきれいだと、「細かいところまで手を入れてる」と評価されます。
8. 玄関・収納・照明|“入口と上”で印象が決まる
退去時に最初に見られるのが「玄関」。
最後に見られるのが「照明と天井」。
つまり、この2箇所を整えるだけで印象が激変します。
手順
- 玄関土間:ほうき→中性洗剤→乾拭き。
- 靴箱:砂除去→棚板拭き→扉を開けて乾燥。
- 照明:カバーを外し、ホコリ除去→中性で拭く。
- エアコン外装・フィルター:軽く洗浄→乾かす。
最後に**「匂いがしない・ホコリがない・光が通る」**。この3つを満たせば追加費用リスクは激減します。
9. 退去前チェックリスト(保存・印刷OK)
- キッチンの油汚れ・換気扇・シンクの水垢
- 浴室のカビ・鏡のウロコ・排水口
- トイレ・洗面のにおい除去
- 窓・サッシ・網戸・ベランダ清掃
- 壁スイッチ・取っ手・リモコンの指跡除去
- 床と巾木のホコリ除去・乾拭き
- 玄関・靴箱・照明カバーの拭き上げ
- ゴミ処理完了・換気・鍵・書類確認
10. 当日の動き(立ち会い前30分)
- 全窓を開けて空気を入れ替える
- 床のホコリをドライモップで最終回収
- 水回りの鏡・蛇口を乾拭きで艶出し
- 香りスプレーは使わず無臭を維持
- 書類・鍵・取扱説明書をまとめて玄関に置く
立ち会い時は、清潔さよりも“整っている印象”が重要。
見た目の清掃感で、費用交渉がスムーズになります。
まとめ
退去時の清掃は、追加費用を防ぐ最後のチャンスです。
「どうせハウスクリーニングが入るから」と油断すると、汚れ一つで数千円〜数万円の差につながることも。
今日紹介したように、
- におい
- 水垢・油膜
- 指跡・ホコリ
この3点を重点的に落とすだけで、立ち会い時の印象は格段に上がります。
退去は“終わり”ではなく、“次のスタート”。
気持ちよく部屋を後にするためにも、丁寧な清掃が一番の節約術です。




















